校長挨拶


令和6年度がいよいよスタートしました

愛知県立一宮商業高等学校 校長 朝日 真二

 一宮商業高等学校は、昭和十三年(1938年)創立、今年86年目を迎えた県内有数の伝統校です。卒業生は二万四千人を超え、地域の皆様から「一商」の名で永く愛され、親しまれてきました。校訓は「至誠一貫・質実和楽・感謝報恩」の三対(つい)の言葉で表されています。
入学式では、新入生に対して校訓について次のように話をしました。
「至誠一貫」とは、一つの方針や態度で、最後まで誠意を貫くことです。そのような真心を常に持って生きていく社会人になってください。
「質実和楽」とは、飾らず真面目、質素で誠実、和やかな心を持っていることです。優しい笑顔、思いやりのある話し方ができる大人になってください。
「感謝報恩」とは、毎日の生活の中で受けている多くの恩恵を感じとり、社会のために貢献することです。受けた恩を感じることができたら、他の人にその恩を送ることのできる人になってください。
 始業式では、卒業後の進路について「今一度真剣に考え、目標を明確にして欲しい」と次のような話をしました。
私が愛知県の教員に採用され、はじめに新任として赴任した学校がこの一宮商業です。1990年4月から6年間勤務しました。30年以上前のことです。時代は「バブル」。ただ「バブル」という言葉は、崩壊後に付けられた言葉であり、当時は私を含めほとんどの人がバブルが崩壊したことに気が付いていない時期だったと記憶しています。
 平成2年は、東西ドイツが統一されました。
 平成3年は、ソ連が崩壊しています。雲仙普賢岳が噴火しました。
 平成5年は、Jリーグが開幕しています。現在の天皇陛下と雅子様のご成婚はこの年です。
平成7年1月17日には阪神淡路大震災が起こりました。4月には、震災で被災した高校生を一宮商業が受け入れ共に学んでいます。野茂英雄がアメリカに渡り、大リーグで活躍して新人王になったのはこの年です。円高が進み1ドル=80円を記録しています。この年が1995年でWindows95が発売された年なので私たちはその当時、まだインターネットを利用していませんし、携帯電話も普及していませんでした。
今も昔も変わらないことは、一商生は「至誠一貫・質実和楽・感謝報恩」の校訓のもと、資格取得や学校行事、部活動に一生懸命取り組み、青春を謳歌していたことです。伝統行事の民踊大会は当時の生徒も衣装づくりに苦戦し、各クラスが工夫を凝らし優勝を目指して頑張っていました。
私が勤めてきた約35年間で世界も日本もめまぐるしく変わりました。冷戦時代は終わっても地政学的な緊張は増大しています。東日本大震災や能登半島地震をはじめ多くの自然災害が突然襲ってきます。スポーツの分野では、日本はサッカーワールドカップ出場の常連になりましたし、大谷翔平選手は世界一のベースボールプレーヤーとなりました。AIは加速度的に進化してゆき、皆さんが勤めていくことになるこれからの社会は、もっと速いスピードで予想できない変化が起こることになりそうです。
しかし、全てが予想できる未来は魅力的と言えますか。予想を超える開発や発明がある未来の方がより魅力的でワクワクするじゃないですか。大きく変化していくことをチャンスと捉え、どのように世の中が変化していっても「やりたいこと」「なりたい自分」を見失うことなく夢実現のために着実に努力を重ねていく、そんな目標を設定することと求められる資質・能力を身に付けていきましょう。
さて、新学習指導要領が実施され3年目となりました。本校が展開していく地域創生ビジネスの学びは、次の5領域です。
「観光(Heritage tourism)ビジネス」
「スポーツ(Sport)ビジネス」
「街づくり(City renovation)ビジネス」
「食(Food)ビジネス」
「地場産業(Local industry)ビジネス」
一宮市を中心としたこの地域が、持続的に発展していくカギとなるこの5領域の学びを一宮商業において展開していきます。生きたビジネス教育を系統的に実践していくことで、コミュニケーション力、マネジメント力、マーケティング力を備えた人材、時代が求める地域創生ビジネスの専門家育成を目指します。失敗を恐れず、この学びに積極的に参加してください。
いよいよ令和6年度がスタートしました。新しい制服をまとった1年生が一宮商業に新しい風を吹き込んでいます。学校は活気に満ちています。今年の民踊大会も一商祭(一商フェス)も生徒、保護者、地域の方に満足していただける学校行事となるよう準備を進めています。期待してください。「挑戦する生徒を育てる!」一商は、今年も大きく変わります。