3学期終業式の式辞にかえて
3学期終業式の式辞にかえて
人類は今、「新型コロナウィルス感染症」との闘いの中にあります。2020年(令和2)は人類と感染症の関わりにおける歴史的な年として扱われることと思います。
本校も3月2日から臨時休業に入っています。したがって、1年間の締めくくりである3学期終業式を実施できません。本日、式辞にかえてメッセージを配付しますので、少し長くなりますが読んでください。そして、今年度を振り返るとともに、新たな決意を以って来年度を迎えてください。
メッセージは以下の2つです。
最初は、“一人ひとりの行動により、感染症流行を克服しよう”
人類と感染症の関わりの歴史は古く、例えばエジプトのミイラからは「天然痘」に感染した痕が確認されています。中世ヨーロッパにおいては人口の3分の1が死亡したといわれる「ペスト」、1918年(大正7)から世界中で流行し、死者が2千万人とも4千万人ともいわれる「スペイン風邪」など、感染症は多くの人命を奪ってきました。
一方、18世紀以降ワクチンの開発や抗生物質の発見により、感染症対策が飛躍的に進歩し、1980年(昭和55)にはWHOにより「天然痘」根絶宣言がされるなど、一時、感染症は脅威であり続けないと思われていました。
しかし、1976年(昭和51)に「エボラ出血熱」、1981年(昭和56)に「AIDS」が出現するなど、この30年間に少なくとも30の感染症が新たに発見されています。さらに、2003年(平成15)には「SARS」が出現、また「鳥インフルエンザ」の流行などが発生しました。
感染症の脅威はとても大きなものであり、その対策は我が国においても重要な位置付けとなっており、さまざまな根拠に基づき予防・治療・まん延防止策が執られています。
新型コロナウィルス感染症が流行する今、私たちができることは、国などの対策に対して何事も一人ひとりが自分のこととして考え適切な行動をとることです。自分の行動を見直すとともに、手洗い・うがい及びアルコール消毒に努め、一日も早く平常の国民生活を取り戻しましょう。そして、2020年(令和2)を振り返った時、国難に対して協力できた自分でいましょう。
2つめは、“一商の品格向上を推進しよう”
15年ほど前の高校道徳の教材に「スカート丈をもう少し長く」という新聞への投稿が掲載されています。
「(前略)私が考えるにはスカート丈は病院の看護師さんが着用しているのが適当と思う。そして美しい。いつも同じ丈、誰もがそうなのだから。患者に美しいと思われるのはあのスカート丈にあると思う。きびきびとした動作に看護師さん自身若く見える。そして美しく見えるのである。(中略)
人はいつも見られていることを常に意識していなければならないと思う。(以下略)」
今の看護師さんは男女ともズボン姿になっていますが、この投稿者は当時の病院での定番である美しいスカート姿を、高校生に制服の着こなしの指針として意見しています。
さて、実社会に直結した商業高校に身を置く、一商生の本来の姿はいつでも実社会に通用する態度です。ところが、一商の品格にかかる課題の一つに服装の着こなしがあります。学校関係者の方からは、特にカーディガンのだらしない袖口と裾、そして靴から見えない程の短い靴下を指摘されています。
そこで、本校オリジナルの男女のカーディガンと女子の靴下を作製し、4月に入学する1年生から学年進行で着用することとしました。在校生の皆さんには卒業式の日にお披露目しましたので記憶に新しいことと思います。担当の先生方、生徒の皆さん、またPTA役員の皆さんによる検討の結果、一商生として相応しい服装を示すことにより、一商の品格向上を推進することとしました。PTA役員の皆さんからは、これを機会として、先生方も生徒とともに一商の品格向上に取り組むことを期待する旨のお言葉もいただきました。
また、ワンポイントには一宮市の花「桔梗(キキョウ)」を設えており、とても上品な仕上がりになっています。折しも、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公明智光秀が用いたとされる家紋の「桔梗(キキョウ)」でもあり、間違いなく注目されると思います。
本校オリジナルカーディガンと靴下が一商生の着こなしの指針となるとともに、一商生が人に見られていることを常に意識して毎日を過ごすよう期待しています。是非、在校生の皆さんも自ら一商の品格向上の一翼を担うようお願いします。
私からのメッセージは以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。
校 長 小 川 芳 範